月次点検表のExcelテンプレート キュービクルの項目構成と記入のしかた

キュービクル式高圧受電設備の月次点検表をExcelで作るときの、項目の並べ方と記入のしかたをまとめました。内規が示す月次点検の内容を土台に、変圧器ごとの測定欄と良否一覧の置き方、前回値の列の作り方、A4縦1枚の印刷設定、毎月コピーして使うときのファイル名の付け方まで順に説明します。

目次

月次点検表をExcelで作るときの項目構成

月次点検表に載せる内容は、内規の月次点検の3区分に対応させると整理しやすくなります。外観点検、測定(電圧・負荷電流・B種接地線の漏れ電流。法令では漏えい電流と書きます)、設置者への問診の3つです。これに、事業場情報と記事欄を足した5つのブロックで1枚にします。

ブロック入れる項目Excelでの置き方
事業場情報事業場名、設置者名、所在地、受電電圧、設備容量、点検者名1〜4行目。毎月変わらないので固定する
点検日・天候点検日、時刻、天候、気温、立会者5〜6行目。時刻と気温は測定値を比べるときに使う
検針電力量計の指示値(有効・無効)、前月の指示値、使用電力量、最大需要電力7〜9行目。使用電力量は引き算の式にする
変圧器ごとの測定変圧器名、容量、相ごとの電圧・電流、漏れ電流、温度10行目から変圧器の数だけ行を取る
点検対象の良否引込設備から負荷設備までの外観点検の項目と良否測定の下に2列組みで並べる
問診・記事設置者からの聞き取り、所見、設置者への依頼事項最下段に3〜5行分の結合セル

良否の対象は、内規が外観点検の対象として挙げる引込設備、受電設備、受配電盤、接地工事、受電室・キュービクル外箱、発電設備、蓄電池設備、負荷設備です。設備ごとに何を見るかはキュービクルの月次点検の点検項目にまとめています。実際の項目は各事業場の保安規程と点検基準で決まるので、テンプレートは受託先ごとに足し引きします。

変圧器ごとの電圧・電流・漏れ電流・温度の測定欄

測定欄は変圧器ごとに1行にします。列は左から、変圧器名、容量、電圧(相ごと)、電流(相ごと)、漏れ電流、温度の順にすると、クランプメーターで測る順と同じになり、車内で書き写すときに迷いません。

  • 電圧:単相3線は2列、三相は3列を用意します。単位はVで、小数は使いません。
  • 電流:相ごとの列を作り、右端に定格電流の列を置きます。定格電流は容量から計算した値を最初に入れておき、負荷率を隣の列で出すと過負荷の確認がしやすくなります。
  • 漏れ電流:B種接地線で変圧器ごとに測った値をmAで入れます。判定値は保安規程の定めによるので、判定値の列を事業場ごとに入れておきます。測り方と目安は漏れ電流の測定と判定の目安を参照してください。
  • 温度:変圧器の温度計の指示か、放射温度計で測った端子の温度です。温度を測定項目に入れるかは保安規程によります。入れる場合は気温の欄とセットで見ます。

非常用発電機がある事業場では、始動停止試験の結果と発電電圧・周波数の行を測定欄の下に足します。項目は非常用発電機の月次点検で説明しています。

前回値を横に置く列の作り方

測定値は、今月の値だけ見ても異常か分かりません。前回値を隣の列に置き、差を自動で出すのが月次点検表をExcelで作る一番の利点です。作り方は2通りあります。

  1. シートを月ごとに複製する方法:1つのブックに「2026-04」「2026-05」のようにシートを並べ、今月のシートの前回値の列に、前月シートの今回値のセルを参照する式を入れます。式は「=’2026-04′!F12」のように前月のシート名で指定します。翌月はシートをコピーしてシート名の部分を書き換えます。
  2. ブックを月ごとに分ける方法:前月のブックから今回値の列をコピーし、今月のブックの前回値の列に「値のみ貼り付け」で入れます。式のつながりがないので、ファイルを別の場所に移しても壊れません。

差分の列は「=F12-E12」のように今回値から前回値を引く式にします。漏れ電流と温度の差分には条件付き書式を設定し、設定した幅を超えたらセルの色が変わるようにしておくと、入力しながら気づけます。色を変える幅は法令の数値ではなく、自分で決める目安です。

テンプレートは次の構成で作ってあります。キュービクル用の1枚で、変圧器4台分の測定欄(前回値・今回値・差の列つき)、30項目の良否一覧(良・否・該当なしのドロップダウン)、記事欄が入っています。漏れ電流と温度の差には色が付く条件付き書式を入れてあるので、幅は自分の目安に直してください。月次点検表のExcelテンプレートをダウンロードして、受託先の保安規程に合わせて項目を直してお使いください。

点検対象の良否一覧と記事欄の書き方

良否の列は、良・否・該当なしの3つを入力規則のドロップダウンにしておきます。否のときは記事欄に場所と状態を書く決まりにします。問診は、日常の巡視で異常がなかったか、ブレーカーが落ちたことや漏電の警報があったか、設備の増設や工事の予定があるか、を聞いた相手の名前と一緒に残します。

記事欄は、設置者が読んで次に何をすればよいか分かる書き方にします。どこの何が、どういう状態で、どう対応するか、の順です。報告書としての全体の構成は月次点検報告書の書き方と記載項目で説明しています。

A4縦1枚に収める印刷設定

車の中でモバイルプリンターから出して、その場で設置者に渡す人が多いので、1枚に収まることを先に確かめておきます。

  1. ページレイアウトの「印刷範囲の設定」で、表の範囲だけを印刷範囲にします。
  2. 「拡大縮小印刷」で、横1ページ、縦1ページに合わせます。文字が小さくなりすぎたら、変圧器の行数や良否の列数を減らします。
  3. 余白は「狭い」にし、ヘッダーに事業場名、フッターにページ番号を入れずに1枚で完結させます。
  4. 列幅を変えたら印刷プレビューで切れていないか見ます。モバイルプリンターは用紙の端が印字できないものがあるので、余白は上下左右とも10mm程度は残します。
  5. PDFとして保存する設定も同じ範囲にしておくと、メールで送るときにそのまま使えます。

毎月の運用とファイル名の付け方

  • 原本のテンプレートは別のフォルダに置き、毎月コピーして使います。原本に測定値を書き込まないようにします。
  • ファイル名は「事業場名_YYYYMM_月次点検表.xlsx」のように、事業場名と年月を先に置きます。並べ替えたときに月順に並びます。
  • 事業場ごとにフォルダを分け、年度ごとに下のフォルダを作ります。3年前の値を探すときに迷いません。
  • 点検日の入力は日付型にします。文字で入れると並べ替えや検索で拾えません。
  • 記録の保存期間は保安規程の定めによります。削除せず、年度ごとにまとめて残します。

よくある質問

Q月次点検表と月次点検報告書は別の書類ですか
A

分けている人と、1枚で兼ねている人がいます。測定値と良否が入った表に、所見と設置者への依頼事項を書いた記事欄があれば、設置者に渡す報告書として使えます。設置者から様式の指定があるときは、その様式に合わせます。

Q隔月点検の事業場でも同じ表を使えますか
A

使えます。点検の頻度が変わるだけで、1回の点検で見る項目は保安規程で定めた月次点検の内容のままです。前回値の列には、前回点検した月の値を入れます。

QExcelの表をiPadで直接入力できますか
A

できます。ただし、タップの操作で入力規則や式が崩れることがあります。式のセルはシートの保護で編集できないようにしておくと安全です。

月次点検報告書を電気保安DXで作る

iPhoneとiPadで使えるアプリ「電気保安DX」には、キュービクル用と非常用発電機用の月次点検報告書テンプレートがあります。事業場ごとに変圧器と点検項目を一度登録すれば、毎月は測定値と良否を入れるだけでA4の報告書になり、入力欄には前回の値と差分が出ます。印刷とPDF共有ができ、点検項目は事業場ごとに追加・削除・並び替えができます。報告書は1事業場まで無料で、Pro(月額2,980円)にすると全事業場で使えます。

この記事の月次点検の内容は、経済産業省「主任技術者制度の解釈及び運用(内規)」をもとにしています。実際の点検項目と判定値は、各事業場の保安規程と点検基準に従ってください。

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