電気管理技術者のアプリの選び方 月次点検の報告書をスマホで作る

電気管理技術者が月次点検にスマホアプリを使うなら、見るところは機能の数ではありません。自分の保安規程と報告書の様式に合わせられるかどうかです。この記事では、紙とExcelで手間になっている作業、アプリに任せられる作業、選ぶときの確認点9項目を整理し、電気保安DXがどこまで当てはまるかを書きます。

目次

紙とExcelの月次点検で起きていること

月次点検で時間を取られるのは、測定よりも前後の事務です。多くの人が次のような流れで回しています。

  • 現場ではメモや点検表に測定値を書き、車の中で報告書の様式に清書する。そのまま車内のモバイルプリンターで印刷して渡す
  • 前回の電圧、負荷電流、漏れ電流を見たいときに、先月の控えやファイルを探す。現場で手元にないと、増減に気づくのが遅れる
  • 年間計画表をExcelで作り、予定がずれるたびに手で直す。今月まだ回っていない事業場は、表を目で追って数える
  • 事業場が増えたり減ったりするたびに、換算点数を計算し直す

同じ数字をメモと報告書で2回書くので、清書のときに写し間違いが入りやすくなります。換算点数も後回しにできません。外部委託で受け持てるのは合計33点未満までなので、新しい依頼を受ける前に計算が要ります。計算の中身は換算点数の計算方法と早見表にまとめています。

電気管理技術者がアプリに任せられる作業

アプリに向いているのは、判断のいらない繰り返しの作業です。設備の良否を判断するのは技術者本人で、そこは変わりません。

作業紙・Excelの場合アプリの場合
報告書の作成現場のメモを様式に清書して印刷する現場で測定値と良否を入れると報告書の形になる
前回値との比較先月の控えを探して見比べる入力するときに前回の値が出る
スケジュール管理年間計画表を手で更新する月次・年次の予定と未実施の事業場を一覧で見る
換算点数の計算事業場が変わるたびに手で計算する登録した内容から自動で合計する

対応する範囲はアプリによって違います。自分がいちばん時間を使っている作業はどれかを先に決めておくと、選ぶときに迷いません。

月次点検の報告書アプリを選ぶときの確認点

確認するのは次の9項目です。ストアの説明だけで分からない項目は、無料の範囲で1事業場分を実際に作って確かめます。

確認点見るところ
対応端末iPhoneかAndroidか。タブレットでも使えるか。自分の端末のOSで動くか
報告書の様式自分の保安規程や、需要家に渡してきた様式に合わせられるか
点検項目の変更事業場ごとに項目を足す、消す、並べ替えることができるか
オフラインでの動作電気室や地下など、電波の入らない場所で入力できるか
データの保存先端末の中か、事業者のサーバーか。需要家の情報がどこに置かれるか
印刷・PDFA4で印刷できるか。PDFにして渡せるか
料金体系月額か買い切りか。事業場の数や利用人数で料金が変わるか
無料で試せる範囲制限は期間か、機能や件数か。報告書の出力まで試せるか
機種変更時の引き継ぎ端末を替えたときに過去の記録を移せるか。手順が案内されているか

報告書の様式と点検項目は保安規程に合わせる

月次点検の項目は、事業場ごとの保安規程で決まります。非常用発電機や蓄電池、絶縁監視装置がある事業場とない事業場では、報告書に載せる項目が違います。項目が固定されていると、該当しない欄が残るか、必要な欄が足りなくなります。項目の考え方はキュービクルの月次点検の点検項目、報告書に載せる内容は月次点検報告書の書き方と記載項目を見てください。

データの保存先と引き継ぎは使い始める前に確かめる

点検記録には、需要家の名称、所在地、設備の内容が入ります。保存先が端末の中だけなら、故障や紛失のときに記録が残るかを確かめます。事業者のサーバーに置く方式なら、解約した後にデータを取り出せるかを確かめます。記録の保存期間は保安規程の定めによるので、その期間は読み出せる状態にしておきます。

iPhoneの電気保安アプリ 電気保安DXは確認点にどう当てはまるか

電気保安DXは、月次点検の報告書と点検スケジュールを扱う電気管理技術者向けのアプリです。上の確認点に沿って、できることとできないことを並べます。

確認点電気保安DXの場合
対応端末iPhoneとiPad。Android版はない
報告書の様式A4の月次点検報告書。テンプレートはキュービクルと非常用発電機の2種類
点検項目の変更事業場ごとに追加、削除、並び替えができる
データの保存先端末の中と、利用者自身のiCloud
印刷・PDF印刷とPDF共有ができる
料金体系Proは月額2,980円。全事業場の報告書を作れる
無料で試せる範囲点検スケジュールと換算点数の自動計算は無料。報告書は1事業場まで無料

オフラインでの動作と、機種変更時の引き継ぎの手順は、この表に入れていません。無料の範囲で、電波の入りにくい現場で一度入力して確かめてください。

合わない人もいます。Androidの端末しか持っていない場合は使えません。報告書を無料で作れるのは1事業場までで、受け持ちの全事業場で作るにはProの契約が要ります。様式は、テンプレートをもとに点検項目を入れ替えて作ります。これまで渡してきた様式と同じ内容にできるかは、無料の1事業場で出力して見比べてください。

報告書は、事業場ごとに変圧器や点検項目を一度登録しておけば、毎月は測定値と良否を入れるだけです。入力欄には前回の値と差分が出るので、漏れ電流や負荷電流の増減をその場で見られます。スケジュールでは、月次・年次の予定、年間表、今月回る事業場の一覧を見られ、未実施の事業場は地図に出ます。年間表の考え方は年間点検計画表の作り方に書いています。

点検報告書をスマホで作成する形に切り替える手順

全事業場を一度に移すと、様式が合わなかったときに月内の報告書が間に合わなくなります。1事業場から始めます。

  1. 設備の構成が標準的な事業場を1つ選ぶ
  2. 保安規程と今の報告書を横に置き、変圧器と点検項目をアプリに登録する
  3. 最初の月は紙とアプリの両方で記録し、出力した報告書を今の様式と見比べる
  4. 足りない項目を足し、不要な項目を消す
  5. 需要家に渡す様式が変わる場合は、事前に担当者へ伝える
  6. 問題がなければ、ほかの事業場を順に登録する

よくある質問

QAndroidのスマホで電気保安DXは使えますか
A

使えません。電気保安DXが対応しているのはiPhoneとiPadで、Android版はありません。Androidで別のアプリを探す場合も、確認する項目はこの記事の表と同じです。

Q無料のままでどこまで使えますか
A

点検スケジュールと換算点数の自動計算は無料で使えます。月次点検報告書は1事業場まで無料です。2つ目以降の事業場でも報告書を作る場合は、Pro(月額2,980円)になります。

Qアプリの報告書が今の様式と違っていても使えますか
A

様式を変える前に、保安規程で定めた点検項目が漏れなく載っているかを確かめてください。需要家にも事前に伝えます。所属する協会などで様式の指定がある場合は、その指定に従います。

月次点検の報告書を電気保安DXでまとめる

電気保安DXは、iPhoneとiPadで使える電気管理技術者向けのアプリです。点検スケジュールと換算点数の自動計算は無料で、月次点検報告書は1事業場まで無料で作れます。まず1事業場を登録して、今の様式と見比べるところから試してください。全事業場で報告書を作る場合は、Pro(月額2,980円)です。

この記事は、執筆時点の電気保安DXの提供内容をもとに作成しています。換算点数の上限は平成15年経済産業省告示第249号によります。料金や機能は変わることがあるため、最新の内容はApp Storeの表示で確認してください。

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