高圧需要設備の年間点検計画表をExcelで作るときの操作をまとめました。記号のドロップダウン、COUNTIFの月別件数、換算点数の列、隔月・3か月の組み分け、年次点検の年の列、翌年度への繰り越しを説明します。計画の考え方は年間点検計画表の作り方に任せ、この記事はExcelの作業に絞ります。
年間点検計画表のExcelの表の形
1行が1事業場、列は左から事業場の情報、4月から3月の12列、集計の順です。1枚のシートで全事業場を見渡せるように、1行の高さは変えず、列幅を詰めます。
| 列の区分 | 列 | 備考 |
|---|---|---|
| 事業場の情報 | 事業場名、エリア、設備容量、点検頻度、換算点数、基礎点数、前回の停電年次、次の停電年次 | A〜H列。並べ替えとフィルターの対象 |
| 月の列 | 4月、5月、…、3月の12列 | I〜T列。記号だけを入れる。文字は入れない |
| 集計 | 年間の訪問回数、組、備考・連絡先 | U〜W列。訪問回数はCOUNTIFで出す |
表の範囲は「テーブルとして書式設定」にしておくと、行を足したときに式と入力規則が自動で広がります。先頭行と事業場名の列は「ウィンドウ枠の固定」で固定します。
点検の記号を入力規則で選べるようにする
記号は○(月次)、◎(停電年次)、△(無停電年次)、−(点検なし)、●(実施済み)の5つです。手で打つと似た記号が混ざってCOUNTIFで数えられなくなるので、ドロップダウンにします。
- 空いている列か別シートに、○◎△−●の5つを縦に並べたリストを作ります。
- 4月から3月の列を全部選び、「データ」タブの「データの入力規則」を開きます。
- 入力値の種類を「リスト」にし、元の値にリストの範囲を指定します。
- 記号ごとに条件付き書式を設定します。◎は濃い色、●は灰色にすると、停電の月と終わった月が一目で分かります。
- 点検を終えた月は○を●に書き換えます。年次の◎を終えたときは「◎●」のように2文字にせず、●に置き換え、年次の実施は「年次点検の年」の列で残します。
COUNTIFで月別の件数を出す
表の下に集計行を作り、月ごとに件数を出します。I列が4月の場合の式を示します。データの範囲は5行目から54行目(テンプレートの行数)としています。
| 集計行 | 式(4月のI列) | 意味 |
|---|---|---|
| 月次の予定 | =COUNTIF(I5:I54,”○”) | まだ行っていない月次点検の数 |
| 停電年次 | =COUNTIF(I5:I54,”◎”) | 停電を伴う年次点検の数 |
| 無停電年次 | =COUNTIF(I5:I54,”△”) | 停電しない年次点検の数 |
| 実施済み | =COUNTIF(I5:I54,”●”) | 終わった点検の数 |
| その月の訪問件数 | =COUNTIF(I5:I54,”<>−”)-COUNTBLANK(I5:I54) | −と空白以外の数。予定と実績を合わせた件数 |
4月の式を作ったら、集計行を右にコピーすれば3月まで埋まります。1事業場あたりの年間の訪問回数は、U列に「=COUNTIF(I5:T5,”<>−”)-COUNTBLANK(I5:T5)」と入れて下にコピーします。月ごとの件数が多い月は、年次点検を別の月にずらす判断の材料になります。
換算点数の列と合計の出し方
換算点数の列は、事業場ごとに告示の係数を掛けた後の値を入れ、最下段で合計を出します。合計が33点未満であることが受託の要件なので、この列は計画表に必ず置きます。点数の計算方法は換算点数の計算方法と早見表を参照してください。事業場ごとの点数は換算点数の計算ツールでその場で出せます。
- E列に換算点数を入れ、合計は「=SUM(E5:E54)」で出します。
- 隔月は係数0.6、3か月に1回は0.45を掛けます。D列に頻度(毎月・隔月・3か月)を入れ、E列を「=F5*IF(D5=”隔月”,0.6,IF(D5=”3か月”,0.45,1))」の式にしておくと、頻度を変えたときに点数が追いかけます。基礎点数(毎月点検のときの点数)はF列に置きます。
- 合計のセルに条件付き書式で「33以上なら赤」を入れておくと、受託を増やす検討のときにすぐ分かります。
テンプレートはこの列構成で作ってあります。50事業場分の行に、点検頻度と記号のドロップダウン、換算点数と次の停電年次の式、月別の集計行、換算点数の合計(33以上で赤)を入れてあります。年間点検計画表のExcelテンプレートをダウンロードして、事業場名と頻度、記号を入れ替えてお使いください。
隔月・3か月の事業場の組み分け
隔月や3か月に1回の事業場は、同じ月に固まらないように組を分けます。Excelでは、D列の頻度でフィルターをかけて隔月の事業場だけを表示し、偶数月に行く組と奇数月に行く組に分けて、エリア順に並べ替えてから記号を入れます。3か月の事業場は4・7・10・1月、5・8・11・2月、6・9・12・3月の3組です。
組を決めたら、V列に「隔月A」「3か月B」のように組の名前を入れておきます。翌年度に表を作り直すとき、この列で並べ替えればそのまま使えます。隔月や3か月に1回にできる条件は月次点検を隔月や3か月に1回にできる条件で確認できます。
年次点検の年の列の作り方
停電を伴う年次点検を毎年行わず、無停電の年を挟む事業場では、今年度が停電の年かどうかを列で管理します。G列に前回の停電年次を日付型で入れ、H列に「=YEAR(G5)+3」のように次の停電年次を式で出しておくと、今年度に◎を入れる事業場を抽出できます。何年ごとに停電点検にするかは各事業場の保安規程で決まるので、年数の部分は事業場ごとに変えます。
年次点検の月の列には、停電の年は◎、間の年は△を入れます。設置者と停電日を決めたら、備考の列に日付と時間帯を書きます。
印刷と翌年度への繰り越し
- 印刷はA4横で、拡大縮小印刷を横1ページにします。事業場が30件を超えると縦が2ページになるので、「印刷タイトル」で先頭行を各ページに繰り返します。
- 年度の終わりにシートをコピーし、シート名を新しい年度にします。
- コピーしたシートで、12か月の列を選んで●を○に置換します。検索と置換で●を○にすれば一度で済みます。
- 年次点検の年の列を見て、今年度が停電の年になる事業場の◎と△を入れ替えます。
- 受託が増えた行を足し、減った行は削除せず、備考に契約終了の年月を書いて下に移します。
よくある質問
- QCOUNTIFで○の数が合いません
- A
全角の○と記号の〇、漢数字の〇が混ざっていることが多いです。入力規則のリストから選ぶようにし、既に入っている値は検索と置換でそろえます。セルの前後に空白が入っている場合も数えられません。
- Q月次点検と年次点検を同じ月に行う場合、記号はどう入れますか
- A
年次点検の月は◎か△だけを入れ、○は入れません。年次点検の日に月次点検の項目も合わせて行う扱いにし、月次の件数はCOUNTIFの集計で◎と△も足して見ます。
- Qスマートフォンで計画表を見たいのですが
- A
Excelのアプリで開けますが、12列の表は横に長く、1行を追うのが大変です。出先ではエリアと月でフィルターをかけた表を別シートにしておくか、スケジュール管理ができるアプリに移す方法があります。
年間の点検予定を電気保安DXで管理する
iPhoneとiPadで使えるアプリ「電気保安DX」には、月次と年次の予定を管理する点検スケジュールの機能があります。年間表、今月回る事業場の一覧、未実施の事業場の地図表示、換算点数の自動計算を無料で使えます。Excelの計画表を車の中で開き直す代わりに、今月行っていない事業場をその場で確かめたい人向けです。
この記事の点検頻度と換算係数は、平成15年経済産業省告示第249号をもとにしています。停電を伴う年次点検の間隔は各事業場の保安規程に従ってください。Excelの操作はMicrosoft 365の画面を前提にしています。