電気管理技術者として外部委託を受けるには、免状の種類に応じた実務経験を実務経歴証明書で示します。必要年数は第一種が3年、第二種が4年、第三種が5年で、保安管理業務講習を修了すれば第二種と第三種も3年です。認められる実務の範囲、期間の数え方、証明者、書き方の注意を、告示と経済産業省の運用文書で確認してまとめます。
電気管理技術者に必要な実務経験の年数
根拠は電気事業法施行規則第52条の2第1号ロと、平成15年経済産業省告示第249号第1条です。事業用電気工作物の工事、維持または運用の実務に従事した期間が、次の年数以上あることが要件です。
| 免状の種類と条件 | 必要な実務経験 |
|---|---|
| 第一種電気主任技術者 | 3年 |
| 第二種電気主任技術者 | 4年 |
| 第三種電気主任技術者 | 5年 |
| 第二種または第三種で、免状取得後に保安管理業務講習を修了 | 3年 |
| 第二種または第三種で、講習に加えて保安管理業務訓練を修了 | 2年 |
| 第一種で、免状取得後に保安管理業務訓練を修了 | 2年 |
免状を取る前の期間も数えられますが、2分の1として算入します。たとえば第三種の場合、免状取得前に4年、取得後に3年なら、2年と3年で合計5年になります。
告示第1条第2項には、設備容量300kVA以下、キュービクル式、主遮断装置がPF・S形の需要設備に限って受託する場合に、必要年数を1年減らせる定めがあります。この条件付きの受託を使うときは、申請の前に産業保安監督部へその旨を申し出ます。要件の全体は電気管理技術者の外部委託の要件にまとめています。
実務経験として認められる範囲
対象は事業用電気工作物の工事、維持、運用です。経済産業省の運用文書では、次の業務が挙げられています。
- 建設と施工:設計、据付や組立、配線工事、機器の調整と性能検査、これらの指導監督
- 保守管理:巡視点検、定期点検、修理、試験、測定、これらの指導監督
- 運転:運転状態の監視、電圧や電流の調整、系統の切替や事故復旧の操作、これらの指導監督
- 直接関係する業務:工事計画の申請書の作成、保安の指導監督、検査に関する業務で、現場に常駐するか定期的に出向くもの
電気管理技術者の補助者として月次点検や年次点検に同行した期間も対象です。点検への従事が、役職に割り当てられた業務として日常的かつ継続して行われたことが前提になります。
認められない業務
次の業務は、電気設備に関わっていても実務経験に入りません。
- 土木や組立、溶接など、電気の知識や技能を要しない作業
- 警備目的の監視や記録で、電気工作物の知識を要しないもの
- 受電設備を含まない、負荷設備だけの維持や管理
- 学校や研究所の実験、試験設備に関する業務(電源設備は除く)
- X線装置やネオン変圧器など、二次側だけに高電圧を出す機器
- 電気機械器具や計器の製造
- 電気鉄道の電車線やトロリー線、船舶や車両、航空機の中の電気設備
- 電気事業法の適用がない海外での業務
設計だけで施工の監理を伴わないもの、事務所での書類作業だけの期間も対象になりません。業務の内容は個別に確認されるので、説明や追加の資料を求められることがあります。
実務経験の期間の数え方
期間は、従事した立場ごとに別の数え方をして通算します。経済産業省が令和6年4月1日付で示した運用によります。
| 従事した立場 | 期間の数え方 |
|---|---|
| 選任された電気主任技術者として従事 | 選任されていた期間をそのまま数える |
| 選任された電気主任技術者の下で、その事業場に常駐して従事 | 従事した期間をそのまま数える |
| 電気管理技術者または保安業務従事者の補助者として従事 | 点検した設備21件を1か月分とする |
| 電気工事業者またはその従業者として従事 | 従事した21日間を1か月分とする |
補助者と工事業者の数え方には注意があります。1か月に21件や21日を超えた分は、翌月以降に繰り越せません。逆に、21に満たない月どうしは足し合わせて1か月分にできます。1か月未満の端数は切り捨てます。
実務経歴証明書の様式と書き方
様式は経済産業省の様式1で、各産業保安監督部のページからWord形式で入手できます。A4で作り、押印が必要です。申請の名称は実務経験証明書と呼ばれることもありますが、様式の名称は実務経歴証明書です。記入する項目は次のとおりです。
- 申請者の氏名、生年月日、本籍、現住所、連絡先、勤務先と役職名
- 略歴:期間(自、至、年数)、役職名、職務の内容、電気工作物の概要を期間ごとに書く
- 補助者として従事した場合は、点検等実施事業場一覧(設置者、事業場名、実施年月、件数の合計)を添える
- 工事業者として従事した場合は、工事工程一覧(件名ごとの業務内容と工期)を添える
- 証明欄:証明の年月日、所在地、証明人
職務の内容は自分がやったことを具体的に書く
差し戻しがいちばん多いのが職務の内容です。部下に指導した、業務を統括した、という書き方では、本人が何をしたか分かりません。月次点検に月に何件同行し、何を測定したか、年次点検で停電操作と絶縁抵抗測定を自分で行ったか、という形で書きます。電気工作物の概要には、受電電圧、設備容量、変圧器や遮断器の構成を書きます。
- 期間は年月日で書き、現在までという書き方はしない
- 役職名は係員などの具体的な名称にし、職務が変わったら期間を分ける
- 略語(VCBなど)は使わず、正式な機器の名称を書く
- 主任技術者ではなく電気主任技術者と書く
- 選任されていた期間がある場合は、選任の届出書の写しを添える
証明者は誰になるか
証明者は、従事した立場で決まります。
| 従事した立場 | 証明者 |
|---|---|
| 電気管理技術者の補助者 | その電気管理技術者本人 |
| 保安法人の保安業務従事者の補助者 | 所属していた保安法人 |
| 選任された電気主任技術者、またはその下で従事 | 事業場の設置者。派遣契約の場合は雇用主でもよい |
| 電気工事業者またはその従業者 | 工事をした事業場の設置者。派遣の場合は従事させた者 |
退職した会社の証明が必要になるので、辞める前に依頼しておきます。工事業者の経歴は、求めがあれば請負契約書など工事の実施を示す書類を出します。
添付する書類
- 電気主任技術者免状の写し
- 実務経歴証明書(様式1)と、立場に応じた一覧表
- 保安管理業務講習の修了を示す書類(講習で年数を短縮する場合)
- 選任の届出書や許可書の写し(選任期間を数える場合)
電気管理技術者として登録するときは、このほかに機械器具の保有状況届出書、緊急時の連絡体制の説明書、他に職業を有していないことの説明書などが要ります。必要書類の一覧は所管の産業保安監督部のページにあります。独立までの手順は電気管理技術者として独立する手順と費用に書いています。
よくある質問
- Q免状を取る前のビルメンテナンスの経験は実務経験になりますか
- A
受電設備を含む事業場で、点検や測定に日常的に従事していれば対象になり、免状取得前の期間は2分の1で算入します。負荷設備の保守だけなら対象外です。会社の証明に加え、契約先の証明を求められることがあります。
- Q補助者として月に21件以上点検すると早く年数がたまりますか
- A
たまりません。21件を超えた分は翌月に繰り越せず、1か月は1か月分です。21件に満たない月は、同じように満たない月と足して1か月分にできます。
- Q講習と条件付きの受託は同時に使えますか
- A
告示の改正で扱いが変わってきた部分なので、申請の前に所管の産業保安監督部に確認してください。
独立後の点検スケジュールを電気保安DXで管理する
電気保安DXは、iPhoneとiPadで使える電気管理技術者向けのアプリです。受託した事業場を登録すると、換算点数の合計と、月次と年次の予定が自動で出ます。点検スケジュールと換算点数の計算は無料で、月次点検報告書は1事業場まで無料です。全事業場で報告書を作る場合はPro(月額2,980円)です。
この記事は、電気事業法施行規則第52条の2、平成15年経済産業省告示第249号第1条、経済産業省の実務経験期間の確認に係る運用文書(令和6年4月1日)、中部近畿産業保安監督部の記載注意をもとに作成しています。様式と運用は変わることがあるため、申請前に所管の産業保安監督部で確認してください。