年間点検計画表は、縦に事業場、横に4月から3月を並べ、月次点検と年次点検の予定を記号で入れた表です。この記事では、表の形、作る手順、隔月や3か月に1回の事業場の割り振り方、年次点検の月の決め方、Excelで作る場合の列構成、計画と実績のずれの管理、設置者への説明での使い方を説明します。
年間点検計画表に載せる内容と表の形
どの事業場に、どの月に、何の点検で行くかを1枚にまとめます。行は事業場、列は4月から3月の12か月にし、セルには点検の種類を記号で入れます。年次点検は、停電して行う年と無停電で行う年で記号を分けます。記号に決まった様式はないので、次は一例です。
| 記号 | 意味 | 使い方 |
|---|---|---|
| ○ | 月次点検 | 点検に行く月に入れる |
| ◎ | 年次点検(停電) | 設置者と停電日を決める月に入れる |
| △ | 年次点検(無停電) | 停電を伴わない年の年次点検の月に入れる |
| - | 点検のない月 | 隔月や3か月に1回の事業場で、行かない月に入れる |
| ● | 実施済み | 点検を終えたら○を塗り替える |
点検のない月に「-」を入れるのは、予定の入れ忘れと区別するためです。表の下には、月ごとの月次件数と年次件数の合計行を付けます。
電気設備の点検計画の作り方 5つの手順
動かしにくい予定を先に置き、動かせる予定で件数をならします。
- 事業場ごとの点検頻度を確認する。保安規程と委託契約書を見て、毎月、隔月、3か月に1回のどれかを一覧に書きます。
- 年次点検の月を決める。停電が必要な事業場から先に、設置者の都合がつきやすい月へ置きます。
- 隔月と3か月に1回の事業場を割り振る。点検月が同じ月に重ならないよう、組に分けてずらします。
- 月ごとの件数をならす。合計行を見て、多い月の年次点検や隔月の組を少ない月へ移します。
- 停電する年次点検は設置者と日程を調整する。候補日を複数出し、決まった日を表に書き込みます。
隔月・3か月に1回の事業場の割り振り方
高圧の需要設備の点検は原則として毎月1回以上で、平成15年経済産業省告示第249号の条件を満たす事業場は隔月、または3か月に1回にできます。条件は月次点検を隔月や3か月に1回にできる条件にまとめています。
隔月の事業場は、奇数月の組と偶数月の組に半分ずつ分けます。3か月に1回の事業場は、4・7・10・1月、5・8・11・2月、6・9・12・3月の3組に分けます。たとえば毎月18件、隔月8件、3か月に1回3件の場合、組に分けると月次点検は毎月23件でそろいます。同じ月へ寄せると、29件の月と18件の月ができます。
隔月や3か月に1回の事業場は、点検月を逃すと間隔が告示の頻度を超えます。その月のうちに必ず回る事業場として扱います。
年次点検の月を決めるときの考え方
年次点検は1年に1回以上行います。停電して行うのが原則ですが、「主任技術者制度の解釈及び運用(内規)」では、信頼性が高く、同等と認められる点検が1年に1回以上行われている機器について、停電による点検を3年に1回以上にできるとされています。どの事業場が何年度に停電するかを、計画表の列に持っておきます。試験の内容は年次点検の手順と試験項目を参照してください。
停電を伴う年次点検は、空調を使わない春と秋に希望が集まりやすい傾向があります。これは実務上の傾向で、法令の定めではありません。同じ月に集めすぎると、延期になったときに振り替える日がなくなります。無停電の年の事業場を月次点検の少ない月へ回して分散させ、年度末の3月は延期分の予備として空けておきます。
Excelで年間点検計画表を作るときの列構成
左に事業場の情報、右に12か月を並べます。次は列の一例です。
| 列 | 入れる内容 | 記入例 |
|---|---|---|
| 事業場名 | 設置者名と事業場の名称 | ○○工場 |
| エリア | 市区町村や方面。並べ替えに使う | 東区 |
| 設備容量 | 受電設備の容量 | 300kVA |
| 点検頻度 | 毎月、隔月、3か月に1回の別 | 隔月 |
| 換算点数 | 頻度の係数を掛けた後の点数。合計を下に出す | 0.48 |
| 年次点検の区分 | 今年度が停電か無停電か | 停電 |
| 前回の停電年次 | 前回停電して点検した年月 | 2025年10月 |
| 連絡先 | 設置者側の担当者と電話番号 | 総務 △△様 |
| 4月〜3月 | 月ごとに記号を入れる12列 | ○、◎、- |
| 備考 | 停電できる曜日や時間帯、延期の理由と振替日 | 日曜の午前のみ停電可 |
換算点数の列を持たせるのは、受託を増やすときに合計が33点未満に収まるかをその場で確かめるためです。計算のしかたは換算点数の計算方法と早見表を見てください。合計行は、COUNTIF関数で記号ごとの件数を数えて作ります。
1日に回る件数と移動の組み方
月ごとの件数が決まったら、月の中の日割りを組みます。1日に回れる件数は、点検の時間より移動時間で決まります。エリアの列で並べ替え、地図で近い事業場を同じ日にまとめます。
- 停電する年次点検の日は、目安として半日から1日を見込み、ほかの予定を詰めない。
- 報告書を車内で仕上げる時間を、件数の見積もりに含める。
- 月の最後の数日は予定を入れず、延期分に充てる。
詰めすぎると問診や測定値の確認が雑になります。過去の実績から、方面ごとに無理のない件数を決めておきます。
点検計画と実績のずれを管理する方法
点検を終えたら記号を実施済みに変え、日付を残します。月末に、その月の列に未実施の記号が残っていないかを見ます。
延期した場合は、理由と振替日を備考に書きます。停電する年次点検が設置者の都合で流れたときは、その場で次の候補日を決めます。九州産業保安監督部は令和5年2月、立入検査で年次点検の未実施が複数確認されたとして、確実な実施を求める注意喚起を出しています。下期に入る時点で、年次点検の残りの件数を数え直します。
外部委託承認申請や設置者への説明で計画表を使う場面
新しい事業場を受託する前に、計画表へ1行足します。換算点数の合計と月ごとの件数から、無理なく受けられるかが分かります。外部委託承認申請に添える書類は、所管の産業保安監督部の案内で確認してください。無停電の年次点検を取り入れる場合の扱いは監督部ごとに示されており、たとえば関東東北産業保安監督部は、設置者が策定する長期の年次点検計画などの添付を求めています。
設置者には、年度の初めにその事業場の行だけを抜き出して渡します。訪問する月と停電の候補月が1年分見えていれば、設置者は生産や営業の予定と合わせやすくなります。点検後に渡す書類については月次点検報告書の書き方と記載項目で説明しています。
よくある質問
- Q年次点検の月は、月次点検も別に行いますか
- A
保安規程と委託契約の定めによります。年次点検の中で月次点検の項目も行い、その月の月次点検を兼ねる運用が多く見られますが、これは一般的な例です。計画表の記号は、事業場ごとの定めに合わせて入れます。
- Q無停電の年次点検にしている事業場は、計画表にどう書きますか
- A
停電する年と無停電の年で記号を分け、前回停電して点検した年月を列に残します。停電による点検は3年に1回以上が必要なので、次に停電する年度がひと目で分かるようにします。無停電にできる条件は、所管の産業保安監督部の運用を確認してください。
- Q年度の途中で受託が増えたときは、どう直しますか
- A
行を追加し、換算点数の合計が33点未満のままかを先に確かめます。次に月ごとの合計行を見て、年次点検は件数の少ない月へ置きます。隔月や3か月に1回の事業場は、件数の少ない組に入れます。
年間の点検予定を電気保安DXで管理する
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この記事は、平成15年経済産業省告示第249号、「主任技術者制度の解釈及び運用(内規)」、各産業保安監督部の公表資料をもとに作成しています。点検の頻度や内容は各事業場の保安規程と委託契約の定めによるため、実際の計画はそれらに合わせてください。