接地抵抗の基準値は、電気設備の技術基準の解釈(電技解釈)第17条で接地工事の種類ごとに決まっています。A種は10Ω以下、B種は150を1線地絡電流で割った値以下、C種は10Ω以下、D種は100Ω以下です。種類別の早見表、B種の計算例、接地線の太さ、年次点検での測定方法、値が高いときの対応をまとめます。
接地抵抗の基準値 早見表(A種・B種・C種・D種)
値は第17条、施す箇所は第24条・第28条・第29条・第37条によります。令和7年11月20日改正時点の内容です。
| 種類 | 接地抵抗値 | 主な適用箇所 |
|---|---|---|
| A種 | 10Ω以下 | 高圧・特別高圧の機械器具の金属製外箱等、高圧・特別高圧の避雷器、特別高圧計器用変成器の2次側電路 |
| B種 | 150/Ig(Ω)以下。条件により300/Ig、600/Ig | 高圧または特別高圧と低圧を結合する変圧器の低圧側中性点。300V以下で中性点に施し難いときは低圧側の1端子 |
| C種 | 10Ω以下。0.5秒以内に遮断する装置があれば500Ω以下 | 300Vを超える低圧の機械器具の金属製外箱等 |
| D種 | 100Ω以下。0.5秒以内に遮断する装置があれば500Ω以下 | 300V以下の低圧の機械器具の金属製外箱等、高圧計器用変成器の2次側電路 |
Igは、変圧器の高圧側または特別高圧側の電路の1線地絡電流(A)です。C種とD種の500Ωは、低圧電路の地絡を0.5秒以内に自動遮断する装置を施設している場合だけ使えます。
B種接地抵抗の計算 150/Iと300/I・600/Iの使い分け
B種だけは固定の値がなく、高圧系統の1線地絡電流で決まります。分子は原則150です。高圧または35,000V以下の特別高圧と低圧を結合する変圧器では、混触時の遮断時間により300、600を使えます。
| 条件 | 接地抵抗値(Ω) |
|---|---|
| 下記以外の場合 | 150/Ig 以下 |
| 混触で低圧電路の対地電圧が150Vを超えたとき、1秒を超え2秒以下で高圧側を自動遮断する装置がある | 300/Ig 以下 |
| 同じく1秒以下で自動遮断する装置がある | 600/Ig 以下 |
1線地絡電流は電力会社に確認する
Igは実測値か、高圧電路では第17条の17-2表の式で計算した値です。計算結果は小数点以下を切り上げ、2A未満なら2Aとします。式に入れるのは同じ母線につながる高圧電路全体の電線延長とケーブル延長で、需要家側では分かりません。電技解釈の解説も、地絡電流値は変電所の変圧器単位で決め、自家用の構内の変圧器にもその値を使うとしています。実務では、管轄の一般送配電事業者に1線地絡電流と遮断時間の扱いを問い合わせます。
計算例
1線地絡電流が5Aと回答された場合、原則は150÷5で30Ω以下です。1秒を超え2秒以下で遮断される系統なら300÷5で60Ω以下、1秒以下なら600÷5で120Ω以下です。どの分子を使うかは回答内容に合わせます。
接地線の太さの規定
固定して使う接地線の太さは、第17条で次のように決まっています。
| 種類 | 接地線 |
|---|---|
| A種、B種(高圧と低圧を結合する変圧器) | 引張強さ1.04kN以上の容易に腐食し難い金属線、または直径2.6mm以上の軟銅線 |
| B種(上記以外) | 引張強さ2.46kN以上の容易に腐食し難い金属線、または直径4mm以上の軟銅線 |
| C種・D種 | 引張強さ0.39kN以上の容易に腐食し難い金属線、または直径1.6mm以上の軟銅線 |
表の太さは下限で、故障の際に流れる電流を安全に通じられることが前提です。A種とB種を人が触れるおそれがある場所に施設するときは、接地極を地下75cm以上に埋め、接地線の地下75cmから地表上2mまでを合成樹脂管などで覆う規定もあります。
接地抵抗測定の方法 年次点検での手順
接地抵抗測定は、年次点検の項目にしている保安規程の例が多く、絶縁抵抗測定と同じ停電中に行います。直読式の接地抵抗計で、補助極を2本打つ3極法が基本です。接地極Eと電流用補助極Cの間に電流を流し、Eと電圧用補助極Pの間の電圧から抵抗を求める、電圧降下法の考え方です。
- 停電を確認し、測定する接地極の接地線を接地端子で切り離す。
- E端子を接地極に、P端子とC端子を補助接地棒につなぐ。E-P間とP-C間は各5〜10m程度あけ、ほぼ一直線に並べる。
- 地電圧を確認する。計器の許容値を超えるときは原因を取り除く。
- 接地抵抗を測り、前回の値と並べて記録する。
- 切り離した接地線を戻し、端子の締付けを確認する。
補助極の間隔は計器メーカーの取扱説明書による目安で、法令の数値ではありません。発電所などの使用前自主検査の方法を示した経済産業省の解釈では、単独接地と連接接地は直読式接地抵抗計、網状(メッシュ)接地は電圧降下法または高周波パルス方式で測ります。
補助極を打てないときの簡易測定
補助接地棒を打てない場所では、2極法の簡易測定を使います。P端子とC端子をまとめ、抵抗が十分低い既存の接地極につなぎます。指示値は、測りたい接地極と既存の接地極の抵抗の合計です。高めに出るので、指示値が基準値以下なら適合と判断できます。10Ω以下の確認には向かないため、D種にとどめます。
接地抵抗の測定値が高いときの対応
- 補助極の位置を変える、深く打ち直す、水をかける。
- 接地線の端子の緩み、腐食、断線を点検する。
- C種とD種は、0.5秒以内に動作する漏電遮断器などがあるかを確認する。あれば基準は500Ω以下になる。
- それでも超える場合は設置者に報告し、接地極の増設や打ち直しなどの改修を提案する。
接地抵抗は大地の湿り具合や温度で変わりますが、電技解釈の解説は、それでも規定値以下にする必要があるとしています。
共用接地・連接接地の注意点
複数の種類を1つの接地極にまとめた共用接地や、接地極どうしをつないだ連接接地では、個別の値を測れません。合成値を測り、つながっている種類のうち最も低い基準値で判定するのが実務上の基本です。
建物の鉄骨や鉄筋を共用の接地極に使う場合は第18条によります。等電位ボンディングを施し、A種やB種に使うときは1線地絡電流が流れても50Vを超える接触電圧が生じないようにします。大地との間の電気抵抗値が2Ω以下の鉄骨などは、非接地式高圧電路のA種とB種の接地極に使えます。
B種に300/Igや600/Igを使う事業場は注意が要ります。混触時に接地点の電位が300Vや600Vまで上がり得るため、解説はD種接地との連結に危険が伴うとしています。
よくある質問
- QB種の計算値が5Ωを下回る場合はどうなりますか
- A
第24条により、B種の接地抵抗値は5Ω未満であることを要しません。1線地絡電流が40Aなら150÷40で3.75Ωですが、5Ω未満まで下げることは求められていません。
- Q太陽光発電の直流側のC種接地も10Ω以下ですか
- A
原則は10Ω以下です。第29条第4項に特例があり、300Vを超え450V以下の非接地の直流電路で、交流側の絶縁変圧器、合計出力10kW以下などの条件を満たせば100Ω以下にできます。
- Q月次点検では接地の何を見ますか
- A
内規が示す月次点検は、接地線の取付け状態の外観点検と、B種接地線に流れる漏れ電流の測定です。接地抵抗は測りません。キュービクルの月次点検の点検項目と漏れ電流の測定と判定の目安にまとめています。実際の項目は各事業場の保安規程によります。
年次点検の予定と月次の記録を電気保安DXでまとめる
接地抵抗を測る年次点検は、停電日の予定管理から始まります。iPhoneとiPadで使える電気保安DXは、月次・年次の点検スケジュールと年間表を無料で使えます。月次点検報告書は、点検項目を一度登録すれば、毎月は測定値と良否を入れるだけでA4の報告書になります。B種接地線の漏れ電流などは、前回の値と差分が入力欄に出ます。報告書は1事業場まで無料、Pro(月額2,980円)で全事業場に使えます。
この記事は、経済産業省「電気設備の技術基準の解釈」(令和7年11月20日改正)と同解説、「使用前自主検査及び使用前自己確認の方法の解釈」の内容をもとに作成しています。測定手順の数値は計器メーカーの取扱説明書による目安で、実際の点検は各事業場の保安規程に従ってください。