電気管理技術者の外部委託の要件 実務経験、機械器具、換算点数、2時間の目安

電気管理技術者として高圧需要設備の外部委託を受けるには、電気事業法施行規則第52条の2と平成15年経済産業省告示第249号の要件を満たす必要があります。免状ごとの実務経験、保有する機械器具、換算点数の合計33未満、事業場へ2時間以内に到達できることなどです。要件を一つずつ根拠とあわせて整理します。

目次

外部委託の要件はどこに書いてあるか

根拠は、施行規則、告示、内規の3つに分かれています。

資料決めている内容
施行規則第52条第2項外部委託できる事業場の範囲(需要設備は7,000V以下で受電など)
施行規則第52条の2委託先の要件の枠組み。個人は、免状、告示の要件と機械器具、告示の値が基準値未満、業務の遂行に支障がないこと、承認取消しから2年の経過
施行規則第53条承認申請の手続き、委託契約に定める事項、主たる連絡場所が「遅滞なく到達できる場所」にあること
平成15年経済産業省告示第249号実務経験の年数、機械器具の種類、換算係数、基準値の33
主任技術者制度の解釈及び運用(内規)2時間以内の解釈、連絡責任者、点検の内容、他に職業を持つ場合の審査など

施行規則は個人の委託先を「事業を行う個人」と書き、第53条で「電気管理技術者」と呼んでいます。

免状と実務経験の要件

告示第1条第1項は、免状の種類ごとに必要な実務経験を次のように定めています。実務経験は電気工作物の工事、維持または運用の経験で、免状の交付前の期間は2分の1として算入します。

免状と条件必要な実務経験
第一種電気主任技術者3年以上
第二種電気主任技術者4年以上
第三種電気主任技術者5年以上
第二種または第三種で、免状交付後に保安管理業務講習を修了3年以上
第二種または第三種で、講習と保安管理業務訓練を修了。第一種で訓練を修了2年以上

実務経験を1年短くできる設備

告示第1条第2項は、設備容量300kVA以下、キュービクル式、主遮断装置がPF・S形の需要設備の保安監督業務については、上の年数から1年を減じることができるとしています。

実務経験は申請時に実務経歴証明書で示します。書き方は実務経験証明書の書き方にまとめています。講習と訓練の実施者の要件は内規4.(2)に書かれています。

受託できる設備の範囲と、換算点数の合計が33未満であること

施行規則第52条第2項で外部委託できるのは、次の自家用電気工作物の事業場です。

対象条件
需要設備7,000V以下で受電するもの
太陽電池発電所、蓄電所出力5,000kW未満で、7,000V以下で連系等をするもの
水力、火力、風力の発電所出力2,000kW未満で、7,000V以下で連系等をするもの
上記以外の発電所出力1,000kW未満で、7,000V以下で連系等をするもの
配電線路600V以下のもの

需要設備の設備容量に上限はありません。ただし、告示の換算係数は設備容量が大きいほど高く、8,800kVA以上は3.0です。また内規4.(8)は、設備容量6,000kVA以上の需要設備の連絡責任者に、電気主任技術者の選任資格と同等以上の知識と技能を求めています。

施行規則第52条の2第1号ニは、受け持つ事業場の種類と規模に応じて告示の方法で求めた値が、告示で定める値未満であることを求めています。告示第3条は事業場ごとの換算係数を定め、同条第4項でその値を33としています。需要設備の係数は低圧が0.3、高圧は設備容量に応じて0.4から3.0までで、点検頻度に応じて隔月は0.6、3か月に1回は0.45を乗じます。小規模高圧需要設備は0.2です。

33未満が要件なので、合計が33点ちょうどになる受託はできません。係数の表と計算例は換算点数の計算方法と早見表、頻度を下げる条件は月次点検を隔月や3か月に1回にできる条件を参照してください。事業場ごとの点数は換算点数の計算ツールでその場で出せます。

保有が必要な機械器具 11種類

告示第2条第1項は、委託先が持つべき機械器具として次の11種類を挙げています。

  • 絶縁抵抗計
  • 電流計
  • 電圧計
  • 低圧検電器
  • 高圧検電器
  • 接地抵抗計
  • 騒音計
  • 振動計
  • 回転計
  • 継電器試験装置
  • 絶縁耐力試験装置

除外が3つあります。設置者が備えている機械器具は除外できます。需要設備や太陽電池発電所、蓄電所などだけを管理する場合は、騒音計、振動計、回転計が不要です。継電器試験装置と絶縁耐力試験装置は、必要なときに使える措置(貸出しの承諾など)があれば持っていなくて構いません。申請時には機械器具の保有状況の届出書と、借りる場合は貸出し承諾書などを添えます。測定器の選び方は電気管理技術者の道具と測定器にまとめています。

2時間以内に到達できる場所にいることと連絡責任者

施行規則第53条第2項第6号は、委託先の主たる連絡場所が事業場に「遅滞なく到達できる場所」にあることを承認の要件にしています。内規4.(9)はこれを、2時間以内に到達できることと解釈しています。距離ではなく時間なので、道路事情や交通手段で変わります。事務所から車で2時間以内が目安で、申請では委託先の執務に関する説明書で事業場との関係を示します。

施行規則第53条第2項第5号は、委託契約に、告示で定める頻度で点検を行うこと、事故などの非常時の連絡体制、設置者と委託先の相互の義務と責任を定めることを求めています。内規4.(8)は、設置者が、委託先に保安上必要な事項を連絡する連絡責任者を選任することとしています。

内規4.(7)は、委託契約に基づく業務として、電気管理技術者が保安規程に基づいて自ら点検を行うこと、設置者が点検結果の報告を受けて記録を保存すること、月次点検と年次点検、漏えい警報への対応と記録の3年間の保存、事故時の指示などを挙げています。

他に職業を持つ場合と承認の取消し

内規4.(3)は、個人事業者が他に職業を持つ場合、保安管理業務の遂行に支障がないかを厳格に審査し、特に慎重に判断するとしています。禁止ではありませんが、申請では他の職業の有無を説明する書類を求められます。

承認は取り消されることがあります。施行規則第53条第5項は、要件を満たさなくなったとき、承認に係る委託契約によらずに保安管理業務を行ったとき、不正の手段で承認を受けたときなどを挙げています。取消しの責任を負った人は、第52条の2第1号ヘにより、取消しの日から2年間は委託先になれません。

よくある質問

Q電験三種で実務経験5年がないと独立できませんか
A

告示の原則は5年ですが、保安管理業務講習を修了すれば3年、講習と訓練を修了すれば2年に短くなります。300kVA以下でPF・S形のキュービクルだけを受け持つ形なら、さらに1年減らせます。免状取得前の経験は2分の1として算入します。

Q要件を満たしていれば自動で承認されますか
A

いいえ。承認は事業場ごとに設置者が申請し、産業保安監督部が施行規則第53条第2項の各号を審査します。委託先の要件のほか、委託契約の内容、点検頻度、到達時間も対象です。

Q換算点数が33点に近いときはどうなりますか
A

33未満が要件なので、次の受託で33以上になるなら受けられません。既存の事業場で告示の設備条件を満たすものを隔月点検に変えて点数を下げるか、受託を見送ります。隔月にするには設備条件の確認と保安規程の変更が必要です。

換算点数と受託事業場を電気保安DXで管理する

電気保安DXは、iPhoneとiPadで使える電気管理技術者向けのアプリです。事業場ごとに設備容量と点検周期を登録すると換算点数が自動で合計され、新しい受託で33未満に収まるかをその場で確認できます。月次と年次の予定管理と年間表も無料です。月次点検報告書は1事業場まで無料で、Pro(月額2,980円)にすると全事業場で使えます。

この記事は、電気事業法施行規則第52条・第52条の2・第53条(e-Gov法令検索)、平成15年経済産業省告示第249号(関東東北産業保安監督部の説明会資料に収録された告示本文)、経済産業省「主任技術者制度の解釈及び運用(内規)」(那覇産業保安監督事務所掲載版)をもとに作成しています。申請書類と審査の運用は所管の産業保安監督部に確認してください。

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