キュービクルの停電作業の手順書 段取り、停電操作、短絡接地、復電の順序

キュービクルの停電作業は、負荷側から電源側へ順に開放し、放電、検電、短絡接地をしてから作業に入り、接地を外したことを確認して電源側から順に復電する、が基本です。この記事では高圧受電設備の年次点検の当日を想定して、事前の段取りから復電後の確認までを手順書の形にまとめ、労働安全衛生規則第339条から第341条の規定も整理します。

目次

停電作業の前日までに決めておくこと

次の点は前日までに設置者と決めておきます。

  • 停電の日時と時間帯、停電する範囲。全停電か、一部の変圧器だけか。
  • 止めると困る負荷。サーバー、冷凍冷蔵、エレベーター、消防設備、警備装置、医療機器など。停止と再起動の担当を設置者側で決めてもらう。
  • 非常用発電機の扱い。停電で自動起動させて試験を兼ねるか、起動を止めておくか。発電機の点検は非常用発電機の月次点検を参照。
  • UPSや蓄電池、太陽光発電など、停電中も構内に電気が残る経路。
  • 従業員やテナントへの周知。設置者から掲示や連絡をしてもらう。
  • 責任分界点より電源側や引込線に関わる作業があれば、電力会社と事前に協議する。
  • 作業人数と役割、連絡手段、雨天時の扱い。

作業指揮者、特別教育、必要な保護具

労働安全衛生規則第350条は、停電作業を行うとき、作業者に作業期間、作業内容、取り扱う電路と近接する電路の系統を知らせ、作業指揮者を定めることを求めています。指揮者は作業方法と順序を事前に伝えて直接指揮し、電路が停電していること、開閉器の施錠か通電禁止の表示か監視人の配置があること、短絡接地器具が取り付けられていることを確認してから作業開始を指示します。高圧の充電電路の点検や操作の業務は同規則第36条第4号の特別教育の対象なので、補助者を頼むときは受講歴を確認します。

  • 絶縁用保護具。高圧用のゴム手袋、絶縁用保護帽、絶縁靴。使用前に傷と空気漏れを点検する。
  • 検電器。高圧用と低圧用。使用前に動作確認をする。
  • 短絡接地器具、放電用の器具。
  • 通電禁止の表示札と施錠具、懐中電灯、区分開閉器の操作用具。

停電操作の順序 負荷側から電源側へ

操作の番号と対象は、事業場ごとの単線結線図に書き込んでおきます。次は一般的な受電方式での順序です。

  1. 設置者と最終確認をし、負荷側の機器を止めてもらう。
  2. 低圧側の遮断器を分岐から主幹の順に開放する。非常用発電機は計画どおり、自動起動を切るか起動させる。
  3. 主遮断装置(遮断器または高圧交流負荷開閉器)を開放する。
  4. 断路器を開放する。断路器は負荷電流を切れないので、無負荷を確かめてから操作する。
  5. 区分開閉器(PASやUGS)を開放する。
  6. 開放した開閉器に通電禁止の表示をし、施錠するか監視人を置く。
  7. 高圧ケーブルと電力用コンデンサの残留電荷を放電する。放電抵抗付きのコンデンサも放電する。
  8. 高圧検電器で各相を検電し、停電を確認する。
  9. 短絡接地器具を取り付ける。接地側を先に、次に電路側を接続する。作業範囲を挟む位置(引込ケーブルの端末、母線など)に付ける。
  10. 作業指揮者が停電、表示または施錠、短絡接地を確認し、作業開始を指示する。

区分開閉器を開放しても、その電源側と引込線は電力会社側から充電されたままです。停電範囲外の充電部は表示や囲いではっきりさせます。非常用発電機、UPS、太陽光発電など構内の別の電源からの逆充電も、停電前に止めるか切り離します。作業中は、短絡接地器具を作業が終わるまで外さない、絶縁抵抗測定で一時的に外したら終わり次第戻す、測定したケーブルやコンデンサは触る前にもう一度放電する、の3点を守ります。点検内容は年次点検の手順と試験項目にまとめています。

復電の順序 接地の取り外し確認から電源側へ

同規則第339条第2項は、通電する前に、作業者に感電の危険がないことと、短絡接地器具を取り外したことを確認することを求めています。復電は停電の逆順です。

  1. 作業者全員が作業完了を指揮者に報告し、電路から離れる。工具、測定用の配線、ウエスの置き忘れがないか見る。
  2. 短絡接地器具を外す。電路側を先に、接地側を後に外す。取り付けた数と外した数を合わせる。
  3. 外した接続、試験端子、継電器の整定、タップの位置を元に戻したことを確認する。
  4. 低圧側の遮断器がすべて開いていることを確認する。
  5. 通電禁止の表示と施錠を外し、区分開閉器を投入する。
  6. 断路器を投入し、主遮断装置を投入する。受電電圧と変圧器の励磁音を確認する。
  7. 低圧側を主幹から分岐の順に投入し、重要負荷の立ち上がりを設置者と一緒に確認する。
  8. 非常用発電機を自動に戻し、絶縁監視装置や警報の復帰を確認する。
  9. 結果と不良箇所を設置者に報告し、記録を残す。

労働安全衛生規則の停電作業の規定 第339条から第341条

条文は電気工事などの作業を対象にしていますが、年次点検の停電作業でも同じ措置を取るのが一般的です。

条見出し内容
第339条第1項停電作業を行なう場合の措置電路を開路した後に、(1)開路に用いた開閉器の施錠、通電禁止の表示、または監視人の配置、(2)電力ケーブルやコンデンサーなど残留電荷で危険のおそれがあるものの放電、(3)高圧・特別高圧の電路は検電器具で停電を確認し、短絡接地器具で確実に短絡接地する。
第339条第2項同上作業中や作業終了後に通電するときは、作業者に感電の危険がないこと、短絡接地器具を取り外したことを確認する。
第340条断路器等の開路負荷電流を遮断するためのものでない断路器や線路開閉器を開路するときは、パイロットランプやタブレットなどで、操作者に電路が無負荷であることを確認させる。無負荷でなければ開路できない緊錠装置がある場合を除く。
第341条高圧活線作業高圧の充電電路の点検や修理で感電のおそれがあるときは、絶縁用保護具の着用と絶縁用防具の装着、活線作業用器具の使用、活線作業用装置の使用のいずれかの措置を取る。
第350条作業指揮等作業期間、内容、電路の系統を作業者に知らせ、作業指揮者を定める。指揮者は停電、表示・施錠・監視人、短絡接地を確認してから作業開始を指示する。

第341条は充電中の作業の規定で、停電にできない部分に触れる作業があるなら、この条の措置が要ります。

停電作業の手順書は事業場ごとに作る

受電方式、区分開閉器の種類、構内の別電源の有無、重要負荷は事業場ごとに違います。単線結線図に操作番号を書き込んだ手順書を事業場ごとに作り、年次点検のたびに見直します。無停電年次点検を適用する事業場では、産業保安監督部が年次点検実施マニュアルの作成を求める例もあります。停電年次点検の月は年間点検計画表の作り方のとおり、年間表に書いておきます。

よくある質問

Q停電作業のたびに電力会社へ連絡が必要ですか
A

区分開閉器を開放して構内だけを停電する作業は、一般には電力会社側の停電を伴いません。責任分界点より電源側に関わる作業や引込線の作業、区分開閉器そのものの取替は、事前に電力会社と協議します。契約の定めも確認してください。

Q低圧側も検電と短絡接地が必要ですか
A

第339条第1項第3号が検電と短絡接地を求めているのは高圧と特別高圧の電路です。低圧側も、作業する回路は検電してから触るのが実務では一般的です。

Q短絡接地器具はどこに付けますか
A

作業箇所を挟んで電源側と負荷側に付けます。キュービクルでは引込ケーブルの端末と母線に付けることが多いです。付けた数を記録し、復電前に同じ数を外したことを確認します。

停電作業の日程を電気保安DXで管理する

電気保安DXは、電気管理技術者向けのiPhone、iPad向けアプリです。事業場ごとに月次点検と年次点検の予定を登録でき、年間表で停電年次点検の月を確認できます。今月回る事業場の一覧、未実施の事業場の地図表示、換算点数の自動計算は無料です。月次点検報告書は1事業場まで無料、Pro(月額2,980円)で全事業場に使えます。

この記事は、労働安全衛生規則第36条第4号、第339条から第341条、第350条(e-Gov法令検索)と、経済産業省「主任技術者制度の解釈及び運用(内規)」の年次点検の項目をもとに作成しています。操作の順序は一般的な受電方式を想定した例です。実際の手順は各事業場の設備、保安規程、作業手順書に従ってください。

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