高圧機器の更新推奨時期 一覧 PAS・ケーブル・LBS・VCB・変圧器・OCRは何年か

電気管理技術者が点検で見る高圧機器と高圧ケーブルについて、更新推奨時期(製造からの年数の目安)を機器ごとにまとめました。年数は日本電機工業会(JEMA)の調査報告書などの値で、法令の基準でも製造者の保証期間でもありません。設置者に更新を勧めるときの根拠として使ってください。

年製銘板の製造年を西暦で。半角の数字で入れてください。

引込・受電

高圧気中開閉器PAS・区分開閉器(柱上)

10年屋外用。屋内用は15年

GR付きの制御装置(SOG)は10年。波及事故の原因の上位なので、年数に達したら優先して更新を勧めます。雨水の浸入、碍子の汚損、制御装置のケーブル劣化を点検で見ます。

JEMA「汎用高圧機器の更新推奨時期に関する調査」2023年3月改訂版

高圧ケーブルCV・CVT 6.6kV

15〜20年敷設環境による

多くの事業場が15年を目安に管理し、監督部の資料では製造後20年を超えると事故が著しく増えます。地中管路や水のたまる場所では15年未満でも水トリーの事故があります。詳しくは高圧ケーブルの劣化診断。

日本電線工業会の資料、関東東北産業保安監督部の波及事故防止資料

断路器DS

20年または手動操作1,000回、動力操作10,000回

接触部の変色と過熱、操作の渋さ、碍子のひびを見ます。無負荷で操作するものなので、操作履歴も記録しておきます。

JEMA 2023年3月改訂版

高圧交流負荷開閉器LBS

15年屋内用。屋外用は10年、または定格負荷開閉200回

GR付きの制御装置は10年。消弧室の損傷、接触部の変色、ヒューズホルダーのゆるみ、ストライカーの動作を見ます。

JEMA 2023年3月改訂版

高圧限流ヒューズPF

15年屋内用。屋外用は10年

動作していなくても年数で交換します。外筒のひび、端子の変色、表示棒の飛び出しを見ます。3本のうち1本が溶断したら3本とも交換します。

JEMA 2023年3月改訂版

真空遮断器VCB・高圧交流遮断器

20年または製造者の規定開閉回数(機械的・負荷開閉とも10,000回の製品が多い)

真空バルブは外から劣化が見えないので、開閉回数の記録と年数で判断します。回数は製品ごとに取扱説明書の値(機械的寿命、負荷開閉寿命、定格遮断電流の遮断回数)を使い、動作回数計があれば年次点検で読んで記録します。操作機構のグリス固着、引外しコイルの動作、補助接点を点検します。

JEMA 2023年3月改訂版

変圧器・コンデンサ

変圧器Tr・油入/モールド

20年

油入は油面、にじみ、絶縁油の劣化、うなり音と温度。モールドはひび、ほこりの堆積、変色を見ます。負荷率が高い変圧器は温度が上がり劣化が早くなります。

JEMA 2023年3月改訂版(高圧配電用変圧器)

高圧進相コンデンサSC

15年

容器のふくれ(膨張)が出たら年数に関係なくすぐ更新です。油のにじみ、異音、温度を見ます。直列リアクトルと放電コイルも同じ15年です。

JEMA 2023年3月改訂版

直列リアクトルSR

15年

コンデンサと一緒に更新するのが普通です。うなり音の変化、温度上昇、油入なら油面を見ます。

JEMA 2023年3月改訂版

避雷器LA

15年

碍子のひびと汚損、接地線の接続、雷の多い地域では放電痕を見ます。動作回数が分からないので年数で管理します。

JEMA 2023年3月改訂版

計器・継電器・低圧

計器用変成器VT・CT・ZCT

15年

モールドのひび、端子のゆるみ、二次回路の開放(CT)がないかを見ます。VTは内蔵ヒューズの溶断にも注意します。

JEMA 2023年3月改訂版

OCR

保護継電器OCR・GR・DGR

15年

静止形は電解コンデンサの劣化で誤動作や不動作が起きます。年次点検の動作試験で判定値から外れてきたら更新です。試験は保護継電器試験の方法と周期。

JEMA 2023年3月改訂版

高圧交流電磁接触器VMC

15年または製造者の規定開閉回数(機械的250万回、電気的25万回程度の製品が多い)

開閉回数が多い用途なので回数の記録が要ります。操作コイルの発熱、真空バルブの開閉回数を見ます。

JEMA 2023年3月改訂版

配線用遮断器・漏電遮断器MCCB・ELCB

15年またはJISの開閉耐久回数(フレームの大きさで違う)

低圧の電磁接触器(MC)は10年。端子の変色、ハンドルの動作、漏電遮断器はテストボタンの動作を見ます。

JEMA「低圧機器の更新推奨時期に関する調査」

年数の見方と、設置者への伝え方

「規定の開閉回数」は、断路器と負荷開閉器はJEMAの報告書に回数があり(断路器は手動1,000回・動力10,000回、負荷開閉器は負荷電流の開閉200回)、遮断器と電磁接触器、低圧遮断器は製造者がカタログや取扱説明書で示す開閉寿命(機械的寿命・電気的寿命)によります。上のカードの回数は一般的なカタログ値なので、実際は機器の銘板の形式で取扱説明書を確かめてください。

JEMAの報告書は、更新推奨時期を「通常の環境と保守のもとで、部品の経年劣化により新品に更新したほうが経済面を含めて有利になるとみられる時期」と説明しています。製造者が性能を保証する期間ではなく、法令の基準でもありません。環境が悪い(塩害、粉じん、高温多湿、振動)場所では短くなり、屋内で負荷が軽ければ長く使えることもあります。

設置者に更新を勧めるときは、年数だけでなく点検で見つけた劣化の兆候(油のにじみ、変色、ひび、動作試験の結果)を一緒に示すと伝わります。更新の優先順位は、波及事故につながるもの(PAS、高圧ケーブル、GR)、動作しないと保護できないもの(VCB、保護継電器、PF)、設備を止める原因になるもの(変圧器、コンデンサ)の順に考えるのが一般的です。

機器の製造年と更新目安は、事業場ごとに一覧で持っておくと年次点検の報告に使えます。計画の立て方は年間点検計画表の作り方、キュービクル全体の更新目安はキュービクルの清掃方法と頻度の後半にまとめています。古い変圧器・コンデンサはPCB含有の判定ツールで分析の要否も確かめてください。ほかの計算ツールは計算ツールの一覧にあります。

製造年を事業場ごとに記録しておく。電気保安DXは、事業場ごとの設備と点検の記録を1か所に残せるiPhoneアプリです。月次点検の測定値と一緒に機器の情報を書き留めておくと、更新を勧める時期を逃しません。

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